Ryzen環境でUAD-2 PCIe Cardを使う

2023年12月12日

以前組んだAMD Ryzen 7 3700XをベースにしたWindows 11の自作PCにUAD-2 PCIe Card(QUAD Core)を追加して動作が確認できたのでメモを残しておきます。

はじめに

こちらはかなり前からあるお話になるかと思います。こちらに記載している内容は、AMD(Ryzen)環境のうちX570チップセットのマザーボードを使用している環境でUAD-2 PCIe Cardを使用する方法について記載しています。こちらではGIGABYTE X570 AORUS ELITEというマザーボードを例としていますが、他のメーカーの同チップセットを搭載したマザーボードでも同じ手順で使用できると思います。

UAD-2 QUAD Coreクラスのカードは十分現役で使えると思いますし、UADは中古品(ライセンスのデアクティベートと再アクティベート)に対して寛大でその仕組みもしっかりしているので、これから自作PCの音楽制作環境にUADプラグインを導入してみたいという方にはお勧めです。

 

UAD-2 PCIe Cardについて

UAD-2 PCIe Cardは、デスクトップPCのPCI Express x1スロットに増設するカードタイプのDSPアクセラレーターです。ApolloなどのUAD製オーディオインターフェイスのDSPを増設するものではなく、DAW上でUADプラグインを使用する際のDSP容量を増やすためのものです。

当初はDSPが一基のUAD-2 SOLO Core、二基のUAD-2 DUO Coreがありましたが、2021年12月現在は、四基のUAD-2 QUAD Coreが生産終了(流通在庫限り)となり、生産されているものはDSPが八基のUAD-2 OCTO Coreのみとなっているようです。

 

カードのインストール

カードをPCI Express x1スロットに挿入します。マザーボードによっては、短いx1スロットではなく長いx16スロットがあるかも知れません。長いスロットに挿しても問題ありません。

私はこの方法で問題なく認識できましたが、マザーボードの一番上にある(上の写真ではグラフィックボードが挿入されているx16スロット)に挿さないと認識されないというケースも確認しました。この辺りはBIOSの制御順と関係があるかも知れませんので「グラボ向けのスロットじゃないと認識しない」点をマザーボードメーカーのサポートに連絡すると対策されたBIOSを貰えるか、BIOS設定についてアドバイスを受けられると思います。

 

Windowsに認識されない

今回私の組んだPCに増設したのは、UAD-2 QUAD Coreですが、QUAD CoreまでとOCTO Coreは同じPCI Express x1スロットに増設するカードですが少々造りが異なるようで、私のAMD環境のWindows11 PCではQUAD Coreのカードは認識されませんでした。

認識されなかった環境

私の環境は2019年11月に組んだままで変更はありません。丸2年になりますがWindows11に更新した今もトラブルやストレスもなく使用しています。

構成は、X570チップセット搭載のマザーボードGigabyte X570 AORUS ELITEに Ryzen 7 3700Xを載せたものになります。

RyzenでDaw用PC組みました

 

UAD Meter & Control Panelの表示

UAデバイスを接続してください。と表示されます。

Windowsデバイスマネージャーの表示

デバイスには黄色の注意マークが表示され、プロパティにはこのデバイスを開始できません。(コード10)。存在しないデバイスを指定しました。と表示されています。

AMD環境で正しく認識されない点を調べてみるとQUAD CoreまでのUAD-2 PCIe Cardでは同様のケースがあるようで、解決しているケースもいくつか確認しました。しかし私が使っているマザーボード GIGABYTE X570 AORUS ELITE (rev. 1.0)の情報は見つかりませんでした。

メーカーのサポートサイト

Universal Audioの本家サイトには以下の通り、利用可能な新しいBIOSアップデートについてマザーボードの製造元に問い合わせることと書かれています。

影響を受けるシステムでは、UAD-2 PCIeカードが認識されず、UADメーターに「デバイスが見つかりません」と表示されます。RyzenCPUと他のメーカーのPCIeデバイス間の互換性の問題も報告されています。

RyzenCPUを使用するシステムでUAD-2PCIeカードが認識される問題が発生した場合、最初のステップは、利用可能な新しいBIOSアップデートについてマザーボードの製造元に問い合わせることです。システムに最新のBIOSアップデートをインストールすると、最新の修正と改善が確実に行われます。

引用:Universal Audio サポートサイト / AMD RyzenCPUとUAD-2PCIeの互換性

BIOSとの相性問題で正常に動かない事は事実ですが、最新のBIOSに更新したら動くというわけではありません

 

対応方法

認識されているが使用できないUAD-2 PCIe Cardを利用可能とするためには、以下の手順が必要になります。

  1. マザーボードメーカーのサポートに問い合わせる。
  2. UAD-2 PCIe Cardを認識させる事が可能なBIOSを提供していただく。
  3. マザーボードのBIOSを更新する。
  4. カードをインストールして認識する事を確認する。
  5. サポートにフィードバックする。

UAD-2 PCIe Cardに限らず、サードパーティ製のPCIeが上手く動かない場合は上記の手順が必須になります。

1.サポートに問い合わせる

まずは、メーカーサポートに、使用しているマザーボードと適用済のBIOSバージョン、載せているCPU、OSのバージョン、認識されなかったカードの情報を連絡します。

今回の場合は、以下のような情報を連絡しました。

  • マザーボード:X570 AORUS ELITE (rev. 1.0)
  • 適用済のBIOS:F36e
  • グラボ:1070ti
  • 載せているCPU:AMD Ryzen 7 3700X
  • OSバージョン:Windows 11
  • メモリ情報:Kingston HX432C16PB3K2/16
  • 電源容量:650w
  • カード情報:UAD-2 PCIe Card(QUAD Core)

また、gearspaceの掲示板にβ版のBIOSの提供を受けて解決したという書き込みがありましたので、そちらも質問の意図が伝わりやすいよう引用しました。

2.β版BIOSの提供を受ける

Gigabyteのサポートにチケットをあげて二日ほどで回答をいただき、そちらにβ版BIOSのダウンロードリンクがありました。

私の場合は、Windows11を使用しているためF36eという最新バージョンのBIOSを使用しており、それに基づいたβ版のF36fを頂きましたが、BIOS自体は安定稼働しているシステムで無理に更新すべきではありません。

予期しない不具合が重なる可能性もありますので、現在安定稼働しているBIOSにUAD-2 PCIe Cardを動作させるためのパッチが当たったもの(β版)を使用された方が良いと思います。

 

私の設定のせいかも知れませんが、サポートにチケットを発行したことも、回答があったこともメール通知はありませんでした。

 

3.BIOSを更新する

手順の中にBIOSの更新がありますが、イマドキのマザーボードにはBIOSを更新するWindowsのソフトウェアが提供されていたりしますが、あれはアテになりません。

更新用BIOSをUSBメモリにコピーして、BIOSに搭載された機能(gigabyteの場合はQ-Flash)を使用して更新する事を強くお勧めします。

 

4.稼働確認

更新後にUAD-2 PCIe Cardが正しく認識されるか確認します。正しく認識すると「一回だけならプラグイン安くしときますよ」というUADのWebサイトが立ち上がって、無事認識されると思います。

Before

OSに認識されているが、デバイスとして使用できない状態です。

After

正しく認識されて使用可能となりました。

 

 

 

動作確認

私はUADのプラグインをApollo Solo USBで掛け録りに使い、ミックスで空間系などのDSP消費の多いプラグインを使っています。

ミックスやマスタリングをする際のオーディオインターフェイスはBabyface Pro FSを使う事が多いです。

いくつかUADプラグインを使うとDSPは分散されて使われていきます。

レイテンシーを考えるとUAD-2 PCIe CardのOCTOを積めるだけ積むのが良さそうですが、私はプロではないのでこれで十分です♪

注意事項

私はWindows11を既に導入しているため、BIOSは最新のF36eに更新しています。しかしこのBIOSは起動シーケンスでたまに躓く事があります。もし次に新しいBIOSを更新すると、今回と同じようにカードが認識されなくなる可能性があります。その場合は今回と同じようにサポートに連絡して・・・という手順が必要になります。

起動時にこんな画面や、

こんな画面が出ます。

解決しました

起動シーケンス中に躓く件をサポートに伝えたところ、「今のプロファイルを送ってください」と言われ、BIOSでプロファイルファイルをUSBメモリに書き出して、送ったところ、

XMPメモリの指定が間違っている。と即答頂き、XMP指定を外した(定格とした)ところ起動時の問題は解決しました。

もともとOCメモリを使用するためにXMPプロファイルを指定していましたが、どうもこのBIOSでは今使っているメモリのプロファイルが正しく読めていないようです。

それなら増量しますか・・・という事で、他のパソコンに使っていた計64GBのメモリに変えました。

 

 

最後に

相変わらず狭い作業部屋にモノばかり増えてごちゃごちゃしてます(-_-;)

今年の年末年始こそは断捨離したい(2021)

音楽制作はオクサマの歌を形として残したいというところから趣味として始めましたが、間が空きすぎるため次に作るときは一からやり直しな上に、新しいものに手を出し過ぎて環境が大きく変わっている事が多く、未だに定まったフローもなく同じ物は二度と作れません(;’∀’)

最終的にはオクサマがコレ!といったものをYouTubeにアップしていますが、たくさん聴いていただけてうれしいです。ありがとうございます。

これからも試行錯誤しながらぽちぽち残していきたいと思います。

 

2023.12.12追記

UAD-2 OCTOを追加

このRyzen環境のマザーボードとBIOSの組み合わせで是非試したいと思っておりました。

中古品のUAD-2 OCTO PCIeカードを入手したので追加してみました。

問題なく認識。

Nuendo 13で動作確認しましたが特に問題は無さそうです。

VST3版のUAD-2プラグインをインサートしている中で、間違えてVST2.4版のUAD-2プラグインをインサートしたらNuendo 13がエラーも出さずに終了しました。

2018年10月に開発・サポート終了したVST 2系はVST 2.4以上について動作していたように思いますが、そろそろ完全移行を行った方が良さそうです。私はインストールされているVST 2.4プラグインを非表示としました。